能 楽 の 色 々 話 A
能楽の形・能楽の演能の形には色々あります。
  装束を着けて舞うものだけが「能」ではありません。ここではその色々をご紹介しましょう。
「素謡」(すうたい)
素謡とは能の台本「謡本」を正座で謡います。朗読のようなものです。シテやワキが謡を謡って聞かせるものです。謡を聞き頭の中で情景を想像しながら聞きます。言葉と音階だけですから、謡手にもかなりの技術がいります。京都は、昔より「謡」が盛んでした。「謡講」と呼ばれる謡をきかせる集まりが、昔は度々ありました。能の曲目の中には「素謡」専用として作曲された曲もあるのです。例:「大原御幸」

素謡「神歌」
「仕舞」(しまい)
仕舞とは能の一部分を、装束を着けず「紋付、袴」姿にて舞います。略式の舞ですね。簡単にいいますと、その曲の一番いい部分のいいとこどり的な形。

仕舞「野守」
「舞囃子」(まいばやし)
舞囃子は、簡単に言えば仕舞にお囃子が入ったもの装束を着けず、「紋付、袴」で舞います。しかし、仕舞よりは長い部分を演じます。仕舞が演じるその曲の最期の部分だけとするなら、舞囃子は曲の真ん中ぐらいから最期まで演じる。簡単に言えばこんな形です。お囃子の入っている分飽きにくい感じです。。。

舞囃子「清経」
他にも、装束を着けず着物で能を一曲舞う「袴能」。楽器一つと、謡一人で謡う「一調」「独調」などもあります。
独調「熊野」

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